遠まわりする雛

遠まわりする雛

遠まわりする雛

読了。色々行ったけど結局ジュンク堂にしか売ってなくて、本当に遠まわ (ry

闇にも、ようやく目が慣れてきた。
見えてきたのは竹箒、鉄製のスコップ、煤払いの長い棒、何が入っているとも知れない段ボール箱。着物を着込んで、少し困ったような顔をしている千反田。
そして、俺たちを囲む四方の壁。
いまさらながら、愚痴がこぼれる。
「何で、こんなことに」

氷菓』 事件の前から、夏休み、正月、バレンタイン、春休み……古典部が過ごした、高校一年生という期間を駆け巡る短編集。


続きまだー?
いやあ面白かった。この作者では古典部シリーズ、それも『十文字』 事件の文化祭(の料理シーン) が一番好きなんですが、これがなかなか、短編集と侮ってはいけません。というか時系列的に最新ですしね。
29頁「もちろんそれが正解だ」 とか、64頁「チタンダエル*1とか、174頁「正確には私学は落ちて公立が通りますように」 とか……もう笑いっぱなしだったw 特に2番目のあたりのやりとり(”省エネ主義という妖怪が!” とか) は楽しすぎる。
……とか思ってたら、「手作りチョコレート事件」 では”里志が摩耶花をのらくらと避ける” 理由が明らかになり、そしてラストの「遠まわりする雛」 では……ああ! なんという青春! もうなんか読み終わった後も、最後のページが頭の中でリフレインして……折木の気持ちをトレースして……そしてたまらん気持ちになるのです。ああ! 帯には「青春ミステリの傑作登場!」 と書かれていましたが、もう青春小説でいいんじゃないでしょうか。


次は二年生。やっぱ古典部に下級生? 今の4人のスタンスが崩れるので、それはなさそうですが……。とにかく期待。

*1:発音的には前半分で下がって後ろ半分で上がる感じ?