ROOM NO.1301 #9 シーナはヒロイック

ROOM NO.1301〈#9〉シーナはヒロイック! (富士見ミステリー文庫)

ROOM NO.1301〈#9〉シーナはヒロイック! (富士見ミステリー文庫)

読了。

三人は何一つしゃべらなかった。ただシーナの歌声に聞き入っていた。それだけの力があの日のシーナには宿っていたのだと健一は改めて感じる。
(これがシーナ&バケッツだったんだ)
健一はずっと気づかなかった自分たちの姿を見た思いだった。

TV収録となるライブを終えた健一。シーナ&バケッツはこれから有名になっていくのかもしれない。デビューするのかどうかも検討している。だが、本来の目的は日奈が佳奈と仲良くなるためであって……。


ああ、そういやこんな雰囲気。
本編は1年ぶり。短編集も今年の2月に出たっきりなので、本当に久しぶり。そういや ROOM シリーズはこんな感じでした。論理的な……というより、気になる箇所はとことん追及するような会話。私が普段している会話なら「そうかもしれませんね」 とスルーしていく場面でも、「でもそれは〜」 と自分の言いたいこと・相手の言いたいことをとことん煮詰めていきます。まあ、結局は「自分がどう思っているのか分からない」 ぐらいに軟着陸するんですけどね。
そういう充実した会話も見ていて面白いんですが、144頁「僕はただ正しくあろうとした。そんなことする必要もないし、してもしょうがないことだったのに」 あたりの、開き直り 肯定的になっていく過程も良いですね。ただ、この話の行き着く所が結局エロだったりするので、ああ、そういや ROOM シリーズってこんな感じだったな、と再度思ったりするわけです。


シーナ編もそろそろ終わりかけ。”錦織さんが幽霊マンションの秘密に勘付きつつ” あるので、あと数巻で終わりそうな予感が。まあ、その数巻を出すまでが長そうですが。