黄昏色の詠使い1 イヴは夜明けに微笑んで

読了。

紡ぐ奏が一瞬途切れる。それは <賛来歌> が終わる前鈴。歌の終詩に至る最後の一小節。
自分がとうとう聴かずに終わった――あの時、少女が自ら閉ざした名詠詩。
完成を待たずしてついえた夜奏の詩篇。詠われることなき終詩が……。
「……その続きが……あるのか」

成立不可能だといわれる夜色名詠の確立と、五色名詠すべてのマスター。誰もが絵空事だと笑う夢だが、少年と少女はお互いに叶えること約束した。やがて二人は別々の道を歩み、そして時は流れ……夜色の少女の意思を継ぐネイトは、「夢を見出せない」 と語るクルーエルと出会う。


泣ける。
なんかもう設定勝ちというか、シチュエーション勝ちというか。「果たせなかった約束を、今――」 みたいな、そんな設定だけで泣けてきます。でもまあ、一言にすればありがちな設定だけど、それを感動できる文章にするのがクリエイター側なんでしょう。
95頁「その名詠士は片目をつむってみせた」 この辺で「志村ー! その人その人ー!」 とか思ってしまった時点でもう、物語にのめり込んでる証拠ですね。本当にありが (ry あと271頁「あなたが……正しかったのね。イブマリー」 あたりの、やってやった感のある所でも泣けてきたり。


しかしまあ、上の世代の物語は終わってるので、続刊では同じポテンシャルは望めないような……と不安に思いつつ、次も期待。