〈本の姫〉は謳う 1

“本の姫”は謳う〈1〉 (C・NOVELSファンタジア)

“本の姫”は謳う〈1〉 (C・NOVELSファンタジア)

読了。

「まるでネットワークがあるみたいだな」
「マルデねっとわーくガアルミタイダナ!」
「パロットネットワークだな」
「ぱろとねとわーく・ダナ!」
「なあ、俺も仲間に入れてくれよ?」
「くきゅーるるる……」
「そこで鳥言葉になるのはズルいぞ」

「滅日」 によって大陸中に散らばった、世界を蝕む邪悪な存在――文字(スペル)。天使の遺跡を巡り、本を修繕する少年アンガスは、文字を探し回収するために <本の姫> と旅をつづけている。


面白い。迫力のあるファンタジーだった。
前作「煌夜祭」 は、飛び飛びに読んでしまったせいで、どうにもちぐはぐな印象を受けましたが……こっちはもう諸手を上げて面白かったと言えます。
二元中継(?) で、アンガスのスペル探索旅行紀と、「滅日」 前の天空に浮かぶ「聖域」 で天使たちが暮らす話の2つが交互に語られるんですが、どちらの話もドラマティックで面白い。とくに後半での両方のストーリーの加速っぷりは目に見張るものがあります。っていうか……「そこで終わるのかよ!」 みたいな場面で話が交代するので、自然と読み進む手が速くなるだけかも。
冒頭を読んだ印象では、”アンガス → 姫” な関係かと思ってたんですが、これが実は逆で、163頁「少ぅしだけ、格好良かった」 あたりやここ以外にも諸々のシーンで、もうニヤニヤが止まりません。これはいい。いいですよ。あと、229頁「お前の文字も、オレの悪運の強さには負けるってことさ」 は主人公の気持ちのまんま泣けてきたり、222頁「それが――希望」 224頁「スタンダップ」 で2つの話が並行して白熱したりで、凄く面白かった。どっちの話もドキドキもんですよ!


これが全4巻分も読めるなんて……考えただけで最高です。でも刊行にはそれなりに時間がかかるとのこと。12月か、せめて1月には……っ! 期待。