アストロノト!

アストロノト! (MF文庫J)

アストロノト! (MF文庫J)

読了。なんとなく購入。積読が少なくなってくると購入意欲ハードルが低くなるから困る。

――その時。


ノトは、雷で打たれたかのように身体を伸ばした。
鳶色の目を、大きく見開く。
ドクン、ドクン。
自分の心臓が、どんどん鼓動を速めていくのが分かる。
「……ちょ……ちょっと待てよ……なんでだッ!? どうして、こんなことが!?

ノトには、生まれつきとある魔法が使えた。『恋の共感』 ――なんとなくではあるが、恋する相手のいる場所とその人の気持ちが分かるのである。そうして今日も、幼馴染のレンビアが困っているのを感じ取り、彼女のいる場所へ行くのだった。そしてそこで起こったことは、ノトにとある決意をさせる――。


なかなか楽しめました。
上で引用したあたりがプロローグでの掴みの部分で、そこで妙に引き込まれてしまいました。設定や展開としては荒い部分が多くて*1、「うわーすっごい適当だなー」 みたいに思うんですが、それを差し引いても(というかそんな辺りで油断したからこそ)、この本の肝である (※重要ネタバレ)202頁「俺は、お前を助けにきたんだ――あの星から」 あたりがかなり面白く感じましたね。それと意外なところで伏線を使ってきたりして。伏線から上手いこと目を逸らされてた気がしますよ?
103頁「――今日だけだからね!?」 これは良いツンデレですね。135頁「そう、これは、しょうがないんだよ……」 初読のときは”とある選択” のせいで優先順位をはっきり伝えてしまったので、このシーンではまり主人公に共感できないんですが……改めて読むとすっごい辛いですね、これ。206頁「それは安堵の涙だった」 この辺りになるとちょっぴり泣きそうになりましたよ。


あとがきではまだまだ続く、みたいなことを言ってますが、どうするんでしょう。本当に”火星行き” とか? 割と綺麗にまとまってると思うので、続刊は微妙な雰囲気になりそうですが……。まあ期待。

*1:まあこのジャンルの本では無理に説明する必要はないので、あえてそうしているのかも知れませんが……間の悪いことに最近、しっかりと作りこまれたSFを読んだばっかりなんですね。