クレイジーフラミンゴの秋
- 作者: 誼阿古,藤本みゆき
- 出版社/メーカー: ソフトバンク クリエイティブ
- 発売日: 2007/02/14
- メディア: 文庫
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「大人はさ……」
晴は顔を向けた。冽史は両手で手摺りを掴み、俯いた。
「大人ってさ……すぐ、子供が居ること忘れるんだよな。何で忘れるのかな。僕ら、そこに居るのにさ」
晴は手摺りに凭れて立った。冽史はもう一度繰り返した。
「すぐ横に居るのにさ」
学校も、先生も、クラスの子たちもパパもママも、バッカみたい。そんなことを思いながらも、変な子扱いされたくなくて、目立たないように過ごしていたのに……なぜか学級委員になってしまった。「クレイジーカンガルー」 ガールズサイド。
面 白 す ぎ る 。
前巻では大人は「理不尽・束縛」 といった象徴でしたが、今回はむしろ逆。正確には、煩わしい女の子同士の関係や両親といったものが「理不尽・束縛」 であり、その中で渦を巻いて縮こまっている主人公を叱咤激励するのが先生です。もうね、この先生がすごく好き。大人であって子供であって、理屈の通った話し方で……そして、子供のことを過たず理解してる。まさに「かっちょいい大人」 ですよ。
86頁「原ちゃんて、ああ見えてすごくシャイ――」 とか、136頁「特に君、そこでエラそうに立ってる君」 とか、281頁「……ああ、アホや。いうか何言ってるんや、俺……」 はかなり笑いましたw かと思えば、182頁「だって、お前ら、やってのけたんやから」 とか、199頁「だから、これだけは忘れんとけ。――お前は強い」 とか、感動的なことを言ってくれたりもします。
ラストがまた、ちょっぴり泣きそうになってきたり……。やっぱりこの人のは面白い。3作目はどうなってるんでしょうか。あとがきでは着手している様子ですが……。