ゴールデンスランバー

ゴールデンスランバー

ゴールデンスランバー

読了。

「いいか、これがおまえたちの仕事だということは認める。仕事というのはそういうものだ。ただな、自分の仕事が他人の人生を台無しにするかもしれねえんだったら、覚悟はいるんだよ。バスの運転手も、ビルの設計士も、料理人もな、みんな最善の注意を払ってやってんだよ。なぜなら、他人の人生を背負ってるからだ。覚悟を持てよ」

首相が暗殺された。テレビではラジコンヘリが爆発する瞬間の映像が繰り返し流され、事件の舞台となった仙台では至るところに警察の姿が見えた。そして翌朝、容疑者の名前に青柳雅春という男が挙げられた――。
精緻きわまる伏線、印象深い会話、構築度の高い物語世界……伊坂幸太郎の描く、直球勝負のエンタテインメント大作。


感・動
かなり面白かったです。伊坂幸太郎では毎度おなじみの絡み合う伏線も、遺憾なく発揮されてました。内容は、「事件の始まり」 「事件の視聴者」 「事件から二十年後」 「事件」 「事件から三ヵ月後」 の全五部から成りますが、実質第三部まではプロローグ、第四部の「事件」 がメインで400ページ、残りの第五部がエピローグです。
そしてこのエピローグがうますぎる……! ジャブ・左フック・ストレートと的確にやられた感じです。第四部「事件」 の終盤では、事態はどうなるのか、主人公はどうなるのか、という所が呼吸も許さぬ緊迫感でもって展開していくわけですが……正直、ここまでで十分に面白かったんです。ここでふう、と本を閉じても満足でした。「うん、やっぱり面白かったな」 と呟いていたでしょう。
ただ、その後が予想以上に面白すぎた! これはもう、伊坂幸太郎でも一・二位を争う*1といってもいいのではないでしょうか。ちょっと分厚いのでアレですが、分厚くても全然平気という人に伊坂幸太郎を勧めるなら、この本をググッと差し出しますね!


いやあ、堪能させてもらいました。楽しいひとときでした。6時間以上読んでた気もしますけどね。




余談。
個人的に、一番良かったキャラは三浦です。漫画「魔王 JUVENILE REMIX」 を読んでるせいで、脳内ビジュアルは完全に”蝉” でしたが*2


余談2。
第三部「事件から二十年後」 の最後のページで、”森の声も聞こえなかった” と言ってます。これはもしかしたら……? と考えると楽しいですね。

*1:といっても過去作品のことは曖昧にしか覚えてないんですが。オーデュボン>重力ピエロ>陽気なギャングぐらいかなあ、と考えた記憶しかなくて、それに付随するはずの感情がまったく……。

*2:なぜか漫画の魔王にはグラスホッパーやら蝉やらの単語が出てきます。なかなか面白いですよ?