狼と香辛料 6

狼と香辛料 (6) (電撃文庫)

狼と香辛料 (6) (電撃文庫)

読了。

なんだかんだいって心配そうにしてくれるから、このままのほうがよいかもしれない。
「……なにを考えておるか丸わかりなんじゃが」
「正直は美徳だと小さい頃に教えられた」
「そう思うかや?」

レノスの町から一転、二人はエーブを追いかけるために川を下って西へ向かうことになった。ヨイツへは逆方向のその道程について、二人はお互いに言及しない。だがひょんなことから知り合った放浪少年トート・コルの噂話に、聞き捨てならない話が含まれていて――。


なんというゆる展開。でもこれはこれで大いにアリ。
商売に関する話はほとんど出てきません。その代わりに全編通して、賢すぎるバカップルというか、賢すぎて逆にバカップルに甘んじてるような展開が続きます。そんな体たらくですので、少々緊張感というものがなくて、小休止の巻という印象ですね。
だけどまあ、前巻からロレンスは「わたしと仕事、どっちが大事?」 の間で揺れていたわけで(その結果が前巻ラストなわけで)、6巻にして針が振り切ったかのような*1展開はごく当たり前の流れですかね。
60頁「ぬしは何も手に入れておらぬじゃろう?」 ひどすぎるw 133頁「ぬしは、時折駆け引きがすごくうまいんじゃが」 天然でやってるから始末におえないという話ですね。188頁「なに、商人連中を見ろ。お前の判断は賢かった、というような顔をしている」 この辺りの mob の描写は流石ですね。二人の掛け合い以外で思わず笑ってしまったという貴重なポイントです。300頁「わっちゃあ子供が好きでありんす。のう、ぬしよ?」 最後の最後で特大の地雷をw


さて次は商売の話に戻るということで、やっぱりそっちの方も楽しみですね。でも次に発売するのは2月の短編集なので、またこの巻と似たようなノリになりそうが気がしないでもないです。




余談。
銅貨の謎は、”57箱をちょっとずつ底上げして3箱分稼ぐ” か、同様にして”銅貨の敷き詰め方を変えて稼ぐ” かのどちらかでしょうね。応用して盗みができるということから、おそらく後者だと思いますが。

*1:実際は、振り切らせるのが惜しくて押し止めている印象すら受けますが。