とらドラ! 6

とらドラ! (6) (電撃文庫 た 20-9)

とらドラ! (6) (電撃文庫 た 20-9)

読了。クインテット3が延期してたのに店頭で気づいてションボリ。

わかりあうことなんて、奇跡みたいなものなのだ。人と人とがわかりあい、まして愛しあうなんて、奇跡みたいに難しくて有難いことなのだ。世界中のカップルや、友や、夫婦や、親子や、兄弟や――すべての奇跡を思って、竜児は静かに目を閉じる。

文化祭も終わり、後は何のイベントもない灰色の日々が続く。そして文化祭が終わった後、北村も同様に灰色になっていた。何につけても覇気がなく、周囲は「燃え尽き症候群か」 などと溜息まじりに話していたが……2ヶ月が経っても、それは変わらなかった。


なんだ、これ……なんだこれは……。あなたが神か……!
もう面白かったとかそういう所を通り過ぎて、凄い。凄いっていう形容詞は、ミステリであれば凄いトリックだったり、SFであれば凄い世界観であったりと、他のジャンルなら稀に使うこともあるでしょうが、ブコメで「凄い」 を使えるのはこの作品ぐらいじゃないでしょうか。
とらドラ! と言えば「ネタ要素満載のコメディ+感情が爆発するシリアス/ラブ」 というのが既刊の構成だったと思いますが、この巻はと言えば、ネタもさることながら、正に”超弩級ブコメ” の名にふさわしい超弩級の爆発が起こります。もうね、キャラの叫びと自分が完全に同調してますよ。腹が立つしやるせない気分になるし、どうしようもない事柄に切なくもなってきます。これを傑作と呼ばずに何と呼べるのか、ってくらいです。そしてそちらとは別に、亜美と実乃梨にも不穏な伏線があって、こちらもまた凄そうな予感が……! ちょ、7巻マダー?
61頁「あはは、そっか、となんだか遠く響くよくわからない実乃梨の笑い声」 ここも何やら怪しげなフラグのかおりがしますね! 94頁「頭脳やら優しさやら速さやら速さは言ってない、言ってないよ! 200頁「モ、モグ、モルグに」 なんでいつも同じ単語で噛むんだろうw 206頁「ナイトメアのずんどこに」 ずんどこって冷静に考えると変だよねw


というわけで、ひとつの区切り(MISOJI) が終わり、次のステージへ。今回は時間がなくて前半は電車で読んでましたが(ずっと唇噛みしめた変な顔だったと思います)、次の巻は休みの日に精神的にも肉体的にも準備万端で臨みたいと思います。この作品を最大限に楽しむために!




追記 。
1週遅れで読んだので、他の人の感想が大量です。で、読んでいる内にふと思ったんですが、写真パネルのシーンで大河が……とか、冬の寒い朝の登校時に大河が……とか、あの辺りの大河の行動は”実乃梨と竜児を二人っきり” にさせようとしているってことと仮定して、その行動理由は「”照れ隠しというか、実乃梨と竜児の二人を見ていると微妙にもやもやとしてきて、そのよく分からない気持ちの輪郭がハッキリ形を取ってしまうのが恐ろしくて二人の前から逃げ出した”」 みたいな、そんな 妄想 印象になりました。これが正解だとすると、生徒手帳の写真はもちろん……ということに。深読みって楽しいですね。