空トブ人ビト 青イロ発光ウサギ

空トブ人ビト―青イロ発光ウサギ (集英社スーパーダッシュ文庫)

空トブ人ビト―青イロ発光ウサギ (集英社スーパーダッシュ文庫)

読了。

――僕は……。
なにをやっているのだろう。
サヤが――ハルタを好きになるとでも考えているのだろうか?
そんなことありえない――そう思うのに、身体が動かなかった。
――もし、もしも、万に一つ、ほんとうはサヤはハルタが好きだったら……。

「ラビット」 と呼ばれる二人乗りのグライダーで空を飛び回り、どんな依頼品でも届ける『通信士』。新米通信士のハルタは相棒のルパーと共に無鉄砲な飛行をしつつ腕を磨いていたが、ある日宛先不明の小包を届けることになり――。


あ、やっべ面白い。
三角関係モノですよ。簡単に表すと、「ハルタ」 ←相棒→ 「ルパー」 ←許嫁→ 「サヤ」 ←ツンツン→ 「ハルタ」 という感じです。この3つ目のツンツンな関係が事態をこじれさせていくんですね。
そしてなんといっても絶妙なのが、↑の引用文のようなルパーの心境ですよ*1。とあることからサヤとハルタの関係に疑問を抱いていくんですが……それは誤解であることが読者には示されているだけに、やきもきしながら「違う、違うよ!」 とルパーに言ってやりたくなります。そして、そんな気分が(※重要ネタバレ)”ハルタの相棒が出来るのは自分だけだ! 相棒のことを信用しないでどうする!」 と立ち直る → ハルタとサヤがラビットで飛んでいるのを目撃” で最高潮に。もう面白すぎてたまりませんよ!
257頁「僕にとって、それが真実だから」 誤解で凝り固まって冷え切っているルパー。ここからが怒涛の氷解シーンで、残されたルパーの心境が泣けてくるんですが、278頁「――我ら、かけがえのない両翼であらん」 で不覚にも泣いた。これはずるい……泣くしかないですよ。


2巻も2月下旬に出るみたいだし、これは思わぬ拾い物。ただ話自体は続いているものの、1巻で1番面白かったのが終始ルパーの心境なので、ちょっと不安ですが……。

*1:関係ないけど「ルパーの」 って打とうとしたら「ルパーン」 に変換されて吹いたw