タザリア王国物語 3 炎虐の皇女

読了。

「ドリスティも、ぼくを捜しに来たんだ。ね、ドリスティ。もう戻るところだったんだよ、本当だよ?」
冬将の騎士はジグリットを見下ろし、わざとらしく大仰な溜息をついた。そしてジグリットの腕を離さずに、掴んだまま引っ張って行く。それを見てようやくドリスティは合点がいって呟いた。
「ああ、なんだ。ヤキモチなのね」

タザリア王がなくなり、ついに玉座にのぼったジグリット。その政策は貧困層の困窮を救うことだったが、そのために課税される貴族たちは当然、新王を快く思っていなかった。やがて時が満ち、燻り続けた火は爆ぜ始める――。


変わらず面白い。
横文字には疎いので、人名から地名から忘れ気味なのが不安だったんですが、出てくる内に説明がされるので問題ありませんでした。ファン・ダルタとリネアさえ覚えてれば楽しめる、というのもありますが。
今回は中篇を2つ収録したようなもので、ひとつは貴族階級との諍い、もうひとつは隣国ゲルシュタインの新王とリネアの結婚、ということで……前者はわりと戦記寄りなのに対し、後者は、もう有り体に言って”ジグリットを手元に置くためだけに王宮を燃やす” リネアのイベントという感じです。その後も圧倒的に上からの、まさに支配者目線でジグリットに接するリネアの”電流が〜、甘い疼きが〜、” なんてもうたまりません。アリッキーノと比べて真逆の反応が素敵すぎます。


どうするんだこれ、っていう状況で終わってますが、すでに4巻は書きあがっているようで、……この本のタイトルからして、どうにかするんでしょうが、本当にどうするつもりなんでしょう? 次も期待。