火の国、風の国物語 2 風焔相撃

読了。

「ちょ、ちょっとこっちへ来い」
「はあ」
黙って命に従い、クラウディアの傍に立つ。十三歳の小柄な少女は自然とアレスを見上げるような格好になった。
「……むう。無駄に背を高くしおって。少しはわたしのことも考えろというものだ」

ジェレイドの反乱は瞬時に拡大し、”鉄壁” トゥールスレン城砦を陥落させる。援軍に向かうはずだったアレス属する王国軍は鉄壁の城砦を攻めることになり――トゥールスレン攻防戦が、始まる。


これは面白い。
1巻では王国軍としてアレス主体に話が進んでいきましたが、「ドラマガで連載しているのは反乱軍視点」 とあとがきにもあった通り、反乱軍視点の話も存在していて、今回は(それとは別に) 反乱軍寄りの話になっています。
攻防戦が始まってからは交互に両方の視点でストーリーを展開していきますが、これがなかなか、面白いことになっています。1巻はひとり三国志状態のアレスが紛うことなき主人公なのですが、2巻ではそれがあやふやになっていて……つまり、どちらが正義とか悪とか以前に、読者にとってそれぞれのキャラが敵か味方か定まっていないのです。
何が面白いかって、戦局が全く読めないことですよ。アレスが主人公なら、王国軍が勝つでしょうし、たとえ負けても後の展開で再起があるでしょう。ところがこの巻では主人公が曖昧で、どちらに転んでもおかしくない状態なのです。「この先どうなるんだろう(まあ最後には主人公が勝つんだろうけど)」 の後者が成り立たない、真に「この先どうなるんだろう……」 なわけです。これが面白くないわけがない!


というわけで、次も楽しみ。3巻は連載分をまとめた短編集だそうです。いわく「星火繚原」。……検索したら戦国BASARAが出てきたんですけど?