L 詐欺師フラットランドのおそらくは華麗なる伝説

読了。気にはなっていたけど、4月末は新刊が多かったのでスルーしてた本。

「――貴方に、《罪人竜の息吹ヴァーミリオン》を差し上げることのできる男です」
告げた一言に、空気がぴんと張り詰めた。
緊張が全身に広がって行く。少し気を緩めれば手足が震えだしそうなほどの戦慄に縛られながら、しかし上っ面だけは、必死で悠然とした態度を取り繕って。
(ビビるな、ビビるな……根性入れろよ、”嘘つきバーンバーン・ザ・ライアー”! ここが正念場だ ! !)

バーン・フラットランド。職業はヒモ、プレイボーイ、あるいは詐欺師……。”嘘” が必須のこの仕事、しかしひょんなことから嘘を吐くと火も吐く身体になってしまい――。


おおう、面白かった。
デビュー作である前作も読んだと思いますが、あまり面白いとは思えなかった記憶があります。しかし今回はなかなかの出来。まず嘘つきが主役というのがもう好きなポイントですね*1
そんなわけで上記の引用文はそんな場面なのですが……って、よくよく思い返してみれば、嘘を吐いて相手を騙す(操る) ような場面はそれ程なかったような。ま、まあいいか。
見せ場はなんといっても、243頁「生まれて、初めてッ、…………恋をしたんだあああああぁぁぁぁッ ! !」 。購入を迷っていたので他の人の感想を読んでネタバレとして知ってたんですが、それでもやっぱり震えるほど良いシーン。そういえば前作もこういう熱いシーンはあったような気がします。


あとがきの「もうビーム出すしかないじゃないですか」 には吹いた。次巻もあるようで、次も期待です。

*1:タクティカルジャッジメントからこっち、騙し騙され雨霰な話が好きです。