荒野

荒野

荒野

読了。数日後に同じ本屋でサイン本が置いてあるのを見ると損した気分になります。いやまあ、店側からすれば遅れて出した方がいいんでしょうけど。

十五歳。
高校一年生。
あと二年半経ったら、卒業して、爆発したようにみんなばらばらになる……。
ここは、爆心地。
夏休みの終わり。

山之内荒野、十二歳。恋愛小説家の父を持つ彼女の家に、新しい家族がやってきた。蜻蛉のような父と、家の匂いを塗り替える義母と、離れに隔離される義兄/クラスメイト。やがて少女は恋に触れる――。


まあまあ。あっさり風味。
それにしても長かった。よく考えればファミ通文庫3巻分ですよ。最初こそ、大人である奈々子さんの「こちょこちょこちょ!」 なんて発言がライトノベルっぽいなあ……とか思ってましたが、次第にそんな雰囲気も薄れていき(微妙に残しつつ)、第三部ではまさに”あの頃” の淡い懼れが蘇ってくるよう。いやあいいですね。懐かしい。
荒野の恋」 から「荒野」 に改題されていて、前者の方が分かりやすくて良くないかなあ……と第一部あたりでは思ってましたが、読み終わってみるとちょっと違うかな、と。確かに恋について書かれていますが、むしろ子供からモラトリアム、そして大人へという、ゆっくりステップを踏んでいく少女の成長小説な印象。まあそれでも「荒野」 だけでは素っ気なさ過ぎる気もしますが。


簡単にまとめると「こんな風なことを考えていた時期が私にもありました」 ってところ*1。うーん、まあ確かにこれは、中高生が読むにはちょっと分からなさすぎる気がします。

*1:まあ多分5年後くらいには、5年前である今を思い出して同じ感傷に浸るんでしょうが。