ダウン・ツ・ヘヴン Down to Heaven

ダウン・ツ・ヘヴン (中公文庫)

ダウン・ツ・ヘヴン (中公文庫)

読了。

そして、
壁に飛行機の写真を貼りつけて、それが、自由の欠片だと信じて、我慢している振りをしろ。
なにも難しいことじゃない。
死ぬよりも簡単だ。
生きることの方が簡単だと、きっとわかるだろう。
お前にも、きっと……。

子供はみんな、空を飛ぶ夢を見るのだ。飛べるようになるまで、あるいは、飛べないと諦めるまで――基地のナンバ・ツーどころか、社のトップ・エースにまで登りつめた草薙。プロパガンダとなることに苦いものを感じつつも、空を飛べるのならば関係ないと思っていたが……。


面白かった。
やはり「冷淡」 などではなく、スイッチの場所が少々ずれているだけで、ちょっとしたことで簡単に感情移入ができてしまいます。というか、主人公との間に温度差を感じながらも容易に入り込めるのは、誰もが子供であった時があるからこそ、なのかもしれません。
というわけで、329頁「飛行機が何のためにあるのか、わかっているのか? 人間が何のために生きているのか、知っているのか?」 あたりの、悔しさが、最高に伝わってきたよ、という話でした。


さて次はフラッタ。flatter て何のことでしょう。



追記。
感想を書き終わってから解説を読みました。354頁「水素が病院で創造した少年は」 ってええええええええええ ! ? ……あー、そう、そういうことだったんですね。よく分かっていませんでした。