フリーランチの時代

フリーランチの時代 (ハヤカワ文庫JA)

フリーランチの時代 (ハヤカワ文庫JA)

読了。”幼年期の終わり” ってフレーズはいいですね。

「ミヨ、何か感慨は?」
今、ひょっとしたら人を殺したか、傷つけたかもしれないのだ。僕としては命中を喜ぶ気にはなれなかった。むしろ、何かの間違いで罪もない人を攻撃してしまったんじゃないかという恐れが、今さら湧いてきていた。
ミヨの返事は例によって例の如きものだった。
「次の港湾入港時に、自律操船ができなくなりました」
「おまえな……」

さあ、僕たちの幼年期の終りがやってきた! 火星基地でのあっけないファーストコンタクトから、宇宙開発時代ニートの日常、そして超遠未来のとある目覚めまで――『老ヴォールの惑星』に続く、全5篇収録の傑作短篇集。


まあまあ。
「時砂の王」 のスピンオフが入ってるので、それは鉄板な出来だとして*1、他には「Live me Me」 が良かったですね。タイトルはSVOCで言えばVOCかな。88頁「つまり私はスピーカー扱いだった」 は何ともやり切れない気分になります。
表題の「フリーランチの時代」 は、ファーストコンタクトが呆気なさすぎてコメディタッチですね。ていうかランチは launch だと思ってましたよ。SFだし。普通に lunch でした。「Slowlife in Starship」 は……羨ましすぎる。「千歳の坂も」 が一番地味でした。ダイ・ヘイヴンがデス・ヘイヴンに平然とチェンジしてたりしましたね。


うーんまあ面白かったんですけど、物足りないというのも否定できません。時砂も老ヴォールもドラマチックでしたし。

*1:後日談ではなく、時間枝の戦いの一つでしたが。後日談はさすがに蛇足ですよね……。