カラクリ荘の異人たち 2 〜お月さんいくつ、十三ななつ〜

読了。アーノルドッ!

「あの」
太一は突っ伏したままのレンの肩に、手を置いた。
「……ありがとう」
くぐもった声が聞こえた。レンが漏らした言葉に、太一は首を傾げた。
「そばにいてくれて、ありがとう」

十五夜が近い秋の日、またも”裏の” 賽河原町が夕焼けに染まってしまった。原因はもちろん、空栗荘の大家が眠ったまま、夕焼けの夢を見ているせいである。最初はいつものことかと楽観していた住人たちも、丸一日経っても起きる気配が見当たらず――。


おお、面白かった。
なんかちょっと泣いてしまいましたよ。1巻がどんな話だったか、あまり覚えてませんが、外を歩く喪服の列のあたりでゾクゾクしたのは覚えてます。今回もそんな感じの、ホラーだかサスペンスだかの恐々としたのが来るかな、と身構えていたのですが……逆方面だったようです。ちょっと意外。
40頁「ちょっとした視覚の暴力だ」 住人もいいですよね。〜〜荘に集まる変な住人たち、みたいな話は好みです。90頁「しらしらと月明かりが地上に降って」 この擬態語でちょっと感動しました。月明かりの幻想的な感じがすごく良く伝わってきます*1。179頁「きゅうっとふたたび、胸が痛くなる」 ここですね〜。主人公に同調してしまいました*2イラストレータのミギーの絵もイメージにぴったりです。


結局、太一のトラウマを克服していく方向へ進む模様。これは期待ですよ。

*1:検索したら石川啄木の短歌が出てきましたが、そちらは雪や氷に対する表現っぽいですね。

*2:というより、過去を省みて胸を痛める、って所に引っかかったのかも。