ばけらの!

ばけらの! (GA文庫)

ばけらの! (GA文庫)

読了。香辛料との落差が激しい。

「おまえ、今日何枚書いたの?」 と僕は液晶画面をにらんだまま訊いてみる。
「大豆も小麦も何枚か買ったそばから下がっててもうげんなり」
先物取引の話はしてねえ」

とあるライトノベルレーベルからデビューした新人作家・杉井ヒカル。彼を取り巻く先輩や同期の作家は、美少女がたくさんいた。――人間じゃないけど! 怖い編集に迫る締切、
そんなときに限って起きる事件。ラノベ作家生活は刺激いっぱい ! ?


まあまあ面白かった。
すわどんなネタ小説が来るかと思いきや、芯はいつもの杉井光でした。ヘタレ主人公が頑張る話*1。まあネタ的なものも色々あったんでしょうが、ブログ見てるのは杉井光支倉凍砂風見周だけなので、あまり感じられませんでした。最初はエムさんとか男爵とか誰なのか分からなかったですし。亜里沙は今でも思い当たりません。
それはともかく、実は私、ストレートに「私小説」 なんて主張してるのを読んだのは初めてなんですよ。それで、普段なら「イヅナ可愛いよイヅナ」 とか言ってる所ですが、この本の場合はそれより先に半笑いになってしまいました。「にゅふぅ」 とか可愛いイラスト付きで言ってても、着ぐるみ剥いだら中身はおっさんで「焼肉うまいデブー」 とか言ってんだろ、なんて感じで。そんな男だらけの仕事場から、こんな話が出来上がるなんて、つくづく作家の脳の構造は凄いなあと思うわけです。化け物ですよ。
しかしどうでしょう。ここで一つ不気味な予感がしたのです。これを書いた作者がアリスとか真冬とか書いてると考えると、なんかもう素直に楽しめない気がしてくるのですよ! ああなんて恐ろしい。頭では分かっていたけど目を逸らしていた、全てがおっさんの妄想であるという事実に気付かされてしまいました。


まあこれからも、そんな事実には蓋をして読み続けるんでしょうが……ふとした瞬間に思い出してしまいそうで、ちょっと不安だなあ、とか思ったり。怖い怖い。

*1:なんかもう通り一遍になってきた気がしますが、不思議と飽きはしませんね。