刺青(タトゥー)白書

刺青(タトゥー)白書 (創元推理文庫)

刺青(タトゥー)白書 (創元推理文庫)

読了。

柚木は喉の奥で音の出ない咳払いをし、縁無しのメガネでガードした奈々世の切れ目に、意識的な秋波を送りつけた。事件も面倒なことではあるし、もうひとつぐらい面倒を抱え込んだところで、疲れるような体質ではない。

女子大生・三浦鈴女は、殺害されたアイドル神崎あやが中学時代の同級生であったことに衝撃を受ける。続いて別の同級生が隅田川で水死体で発見される。二人の肩には薔薇の刺青タトゥーを消した跡が――。


まあまあ。
うーん、「創元推理文庫版あとがき」 に載ってることですが、当時の担当編集者の「できとしては、もう一息かな」 にも共感できますし、また文庫ゲラチェック中の作者の「これは、相当の傑作ではないか、と自画自賛するまでになりました」 にも共感できるのです。それになんといっても、「主人公のスズメちゃんの、可愛いこと」。何年も経っていると、もはや作者だって一読者の視点になってしまうようです。
何がいけなかったか、なんて考えると、そう、今回は柚木草平シリーズにして第三者視点なんですよね。外側から見てると、なんだかまさに「いけすかない女たらし」 にしか見えないんですよね。柚木視点で彼の行動を見るときはそうでもなくて、ハードボイルドさが出てると思うのですが。


今月は電撃の新刊も少ないせいもあって、まとめて創元推理文庫版を買ってしまったので、まだまだシリーズは続きます。楽しみ。