儚い羊たちの祝宴 The Babel Club Chronicle

儚い羊たちの祝宴

儚い羊たちの祝宴

読了。

ミステリの醍醐味と言えば、終盤のどんでん返し。中でも、「最後の一撃フィニッシングストローク」 と呼ばれる、ラストで鮮やかに真相を引っ繰り返す技は、短編の華であり至芸でもある。本書は、更にその上をいく、「ラスト一行の衝撃」 に徹底的にこだわった連作集。古今東西、短編集は数あれど、収録作すべてがラスト一行で落ちるミステリは本書だけ!


どうぞ、最初から順番に一ページずつ読んでください。
パラ読み厳禁。後悔しても知りません!

あらゆる予想は、最後の最後で覆される――ラスト一行の衝撃にこだわり抜いた、暗黒連作ミステリ。


これは……!
見事に一撃をもらいました。いやーあっはっは! 『「ラスト一行の衝撃」 なんて書くと、身構えちゃって偏りなくて読めなくなるだろjk』 なんて思ってましたが――それこそが極上のスパイス。分かっていても罠に嵌まる悔しさといったらありません。だがそれが (ry
以下一行コメント。
身内に不幸がありまして」―― あーあー! そういうことね! おっし分かった次は大丈夫。
北の館の殺人」―― 今度はそっちか……!
山荘秘聞」―― あああ! 悔しいっ……でもっ(ビクビクッ
玉野五十鈴の誉れ」―― またそっち系か……! うまいなあ。
儚い羊たちの晩餐」―― ん……? ……分かりません! ググって解説探すか……。


最後だけちょっとあれでしたが、いや楽しかった! 今月は他に桜庭一樹橋本紡のハードカバーが出てますが、どうしましょうか。とりあえず樋口有介を崩してからでいいかな……。




余談。
仏教説話は鬼子母神ですね。鬼平犯科帳(漫画) で見ました。



追記。
ググる前に風呂に入りながらつらつらと考えてたら、なんとなく纏まってきたので。以下反転。

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まず前提として、「バベルの会」 会員はその全員が夢想家であり、現実を物語化して生きていることを挙げます。つまり、一〜四話はすべて『各人が経験した現実を脚色して執筆した小噺』 であり、実際は偶然の集まりで、猟奇的でも何でもない、普通の話だったということです。
(※3話だけは会員の一人称ではありませんが……)


さてそこで、五話の最後の一行、「バベルの会はこうして復活した」 は、五話の一人称の少女が「バベルの会」 会員になる未来を示します。つまりこの一文は、五話自体もまた、脚色された体験談ということを表します。日記は存在するでしょうが、アミルスタンの羊を食べる話は創作でしょう。もしくは日記自体が創作かもしれませんし、ともすると「旧バベルの会」 すらも想像の産物なのかもしれません。そうすると五話の少女は創立者であり、一〜四話は後発の会員が書いた創作だったりするかもしれません。
つまり、五話のラスト一行で、この本に載っている話の全てがオセロのように次々ひっくり返る……ということになる……のかも……。

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うーん、考えれば考えるほど、穴がぽこぽこ空いていきそうな論理です。論理というのもおこがましい、ただの想像レベルですよ。教えてグーグル先生!