秋期限定栗きんとん事件 下

秋期限定栗きんとん事件 下 (創元推理文庫 M よ 1-6)

秋期限定栗きんとん事件 下 (創元推理文庫 M よ 1-6)

読了。

二つしかない。フェアのくせにメニューは二種類、片方は品切れとはどういうことだ。そもそも五月のうちから夏本番とは何事だ、そんな体たらくで七月にでもなったらどう言い訳するつもりだ。ええい支配人を呼べ、説教してる!
そんな小市民的妄想を楽しんでいると、仲丸さんに、
「そっちのメニュー見せて」
と言われた。

ぼくは思わず苦笑する。去年の夏に別れたというのに、何だかまた、小佐内さんと向き合っているような気がする。二人の間にあるのが、極上の甘いものを載せた皿か、連続放火事件かという違いはあるけれど……。


楽しかったです。
読んでて止まらなくなる予感はあったんですが、やはりその通りになってしまいました*1。さて下巻になり、ついに始まった小鳩くんの暗躍。しかし仲丸さんとの仲は冷え込むばかり。そして既に暗躍していたもう一人の探偵は……? とかそんな感じ。
以下コメント。71頁「冷製パスタを諦めせしめた、おそるべき真実を!」 仲丸さんの普通ぐあいが、なんだか清涼剤のようです。123頁「そう、たぶんね」 強がりにも見えますが、きっと本気で無関心なんだろうなあ。139頁「まず出てくる名前が堂島健吾なんじゃないか」 この意味が分かりませんでしたが、”小市民なら健吾を” 必要としないってことかな……。185頁「そんなことだろうと、思っていたのよ」 そんなことだろうと思ったよ! 思ったよ!*2206頁「一瞬ぎろりと睨まれた」 小佐内さんのコワ可愛さに懐かしさすら覚えます。234頁「視線の先に、獲物はひとつ」 視線もスリリングで楽しいです*3


犯人とか、小佐内さんの行動とか、その原因(ラスト一行) とか、その辺はふつうに勘付いてしまったものの、読み終わった後の感触は、なんというか……解放感です。やっぱり上巻は二人とも上っ面だけでしたからね。次も期待。




余談。
例によって、
「物語はエピローグに入ってるけど、厚さ的に考えたらもうちょっとだけ続く
……とか思っていたら残りページは解説と既刊の広告」
という罠。私はこれがいちばん嫌いです。憎くすらあります。

*1:その日はかなり眠かったです。

*2:大事なことだから二回 (ry 

*3:あと関係ないですけど、自分なら黒文字で半分にカットして値切り交渉に入るところだなあ……とか思ったり。