カラクリ荘の異人たち 3 〜帰り花と忘れ音の時〜

読了。

「ごめん」
目を丸くしている采奈に言った。
「今度、もっとちゃんとしたの持ってくるから」
自分が作ったことになんか、しなきゃよかった。
嘘なんか、つかなきゃよかった。

冬休みも近づいてきた。太一の目下の悩みは、正月に帰省するべきかどうか――である。カラクリ荘の面々が帰らないことを知った太一は、それならば自分も……と考えたが、意外な人物から反発を受けてしまう。


すごく面白かったです。
最近はちょっと読書ペースが落ちていて、それに伴いスムーズに読むことが出来ないでいたのですが*1、全編に渡るのんびりした雰囲気に加え、各キャラの優しさや親しみが静かに染み渡ってくるようで、読んでいて非常に心地よかったです。何だか期せずして、ちょうどいいリハビリになったんじゃないかなと。
以下コメント。126頁「太一に。――そばにいてくれて、ありがとうと」 いいですねー。193頁『感謝してるからね。どうもありがとうっ!』 唐突すぎて笑った。のほほんとしてる人ばかりの中で、珍しく強烈なキャラクタでした。まあ”起爆剤” なことは否めませんが……。273頁「――咲いているかって、僕に訊いたよね。あの時、嬉しかったんだ」 なんという伏線(というほどでも無いですが)。棘が柔らかく抜けていくような感覚が気持ちいいです。290頁「軍手じゃなくて、手袋にしようと思って」 すごいベストな返答だ……。やいのやいの言ってくるツンデレを一撃で黙らせるクリーンヒット。


この巻が一番面白かったかなー*2。次で完結ということですが、楽しみになってきました。期待です。

*1:いわゆる勘を忘れるという奴で……。

*2:まあ、成長物語はだいたいハズレがなくて、どこかしらヒットする箇所があるジャンルなんですが。