ヴィークルエンド

ヴィークルエンド (電撃文庫)

ヴィークルエンド (電撃文庫)

読了。

「だからこそ、おれたちはおれたちのために、流れ、、を加速しなけりゃならないんだ。少しでも速く、、速く、、より速く、、、、――あんたみたいな勘違いをしているやつが、押しつけられた不幸に負けないように、自分を認められるように。せめて異なる価値に気づけるよう、だれのためでもない、自分の歌を歌えるように――
――疑うんなら、生きて、見ていろ。アンパサンドがそれを為す」


面白かった……ほぅ。
溜息ひとつついて、読み終えました。いやあ本当に、いつものうえお久光で安心しました。本当に私はこの作者が好きだな! と、最初2ページのモノローグを読んだ時点で思いましたよ。まあ、なんというか、「悪魔のミカタ」 のエッセンスを抽出して一本にまとめたような雰囲気もありましたし*1これが気に入った人はミカタにも手を出せばいいんじゃないかな!
以下コメント。160頁「夕食に間に合わないようなら連絡を」 襟をやさしく正しながら、って何それ言われてみたい。通わせ妻。334頁「ようやく開き直れたか? それでいいんだよおまえは!」 タケミのこの台詞、唐突だなと思ってたんですが*2、274頁「自分ではどうしようもないことを、どうしようもなく責められては」 に対して、ラストのダイブで答えを出したことを言ってるのかな、ということで納得*3。333頁「羽鳥哉視は天使のごとく大胆に、効率よく」 「悪魔のごとき繊細さでうん、ごめん、笑った。笑い転げた。まさかこんなものが用意されてるなんて……。やはり侮れない。



一巻完結ですが、面白い世界観だけにもったいない(と同時に、妙な続き方をされても萎える) と思いました。キャラ同士の関係はいい感じにまとまったので、この話をフォローしつつ、十数年後の世界の話で出ないかなあ……なんて思ったり。いやまあ、ミカタも忘れてもらっては困りますが!

*1:”信念の通った主人公” ”過去の奇妙な事件” ”元嫁と現嫁の両方に……” ”生存競争” あたり、ミカタと共通してるなあと。

*2:タケミが羽鳥に対してもどかしく感じてたとか、そんな描写があって、見落としたのか……。

*3:まあその解答をダイブを見ただけで判断したのはどういうことだ、って疑問は残りますが……。