ふたりの距離の概算

ふたりの距離の概算

ふたりの距離の概算

読了。

しかしこの一年。全てではないといえ、いやほんの一端に過ぎないとはいえ、俺は千反田のことを知った。千反田の伯父の話を聞いた。ビデオ映画の試写会に連れて行かれた。温泉宿に合宿に行った。文化祭で文集を売った。放課後に下らない話をした。納屋に閉じ込められた。雛に傘を差してやった。


面白かったです。
しかし、ひとこと言っておきたい。”騙された!” と。”遠まわりする雛の後で、ふたりの距離なんていうタイトルに、新入生が千反田とトラブルを起こしたなんて内容なら、奉太郎との三角関係に発展!?” なんて思っていたのに。……うん、今考えると米澤穂信がそうそうド直球に投げてくるとは思えないので、違うとは思ってたんですが。でも期待してしまうじゃないですか。そんな流れに見えなくもないじゃないですか。それともアレですか、いわゆるミスリードという奴ですか。まあ、遠まわりする雛ほどではないにせよ、”仄めかしてはいる” ので、まだ諦めませんよ。
以下コメント。39頁「会話が非生産的すぎて、惨めな気分にすらなってくる」 53頁「折木さん、いまわたしのこと馬鹿だと思ったでしょう」 109頁「「なんとなく言いそびれた」のではないなと気づく」 うん、でもこの辺とか見るといい感じなので、まあこれくらいの距離も悪くはないかな……。79頁「省エネルギーの道は果てしなく、極みは未だ見えない」 見えたらどうなるのか。寝たきり? は違うか。エネルギーを使わないのと節約するのは違うな。150頁「あ、そちらはレモンを加えていますが、元は水道水です」 うわーあーあーあー。怖いこわい。


しかし主人公の推理は相変わらず変態じみているというか、よくそこまで覚えてる上に細かいところまで気がつくなあと。