とある飛空士への恋歌 4

とある飛空士への恋歌 4 (ガガガ文庫)

とある飛空士への恋歌 4 (ガガガ文庫)

読了。

ふとした機会にニナへの憎悪はすべての感情を突き破って、荒々しくカルエルの意識を支配してしまう。革命以来ずっと、こころの土壌へ打ち込みつづけた憎しみのくさびは、ある瞬間にやすやすとカルエルの魂を引き裂いて、裂け目へ暗黒を流し込む。


表紙……っ!
今回も面白かったです。恋と空戦がちょうど前半後半に分かれてる感じですが、どちらもクライマックス。前半は、3巻のあの展開を引きずって暗いムードで始まりますが、そこから更に突き落とす展開。ヘタレカルエルだとこうなっちゃうよね……なんて感じですが、尻を蹴飛ばすのはまさかのあの人。序章が不穏な感じでしたが(14頁「汚い川で身体を洗う母親を見ていた」 とか……)、なるほどこういうことかと。
どちらも似たような境遇で、しかしそれほど復讐に拘泥していないのは、”既に王家を滅ぼしてある程度満足したから” か、あるいは”復讐を遂げてもどうにもならなかったこと経験から、カルエルを「俺も昔はこんな感じだったな」” なんて思っているからか。そしてそんな親近感(?)やら何やらが入り交じって、最後はツンデレ呼ばわりなのに笑った。
そして空戦のターン。前回にも増して激しくなる戦闘に、もう読み進む手を止められませんでした。236頁「――勇気は、振り絞るものだ」 とか、288頁「彼女がくれた、いい匂いのするもの。あれは、なんだっけ……」 がフラグ回避と思ったらフラグ回避キャンセルとか……まあこのあたりは、正直言って物語補正だと思うんですが、そんなこと気にならないほどに没入していました。


さて次で完結とのこと。ファナや海猫あたりも出てきたりするんでしょうか。期待です。