嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん 10 終わりの終わりは始まり

読了。

感慨深さを伴ったように、鷹揚に唇を開く。
「でもお互い、なんていうか」
「ええ」
よく今まで、死なないでこられたね。言外に、そう褒めたたえる。

完結。
あーあー、しかし見事にアレでした。気づいたのは、おそらく作者が意図する瞬間。131頁「まーちゃんの手を左手で握るんだよー」 。うん。そうだよね。(※重要ネタバレ)”地の文に「嘘だけど」 がないよね!” いやー、この作者なら冒頭がこんなのでもおかしくない、と思い込んだ最初の一歩でやられてたんですね。
さらに冒頭に、1巻より前の話が掌編として付いてるんですが……いま思うと、これも”まーちゃんが記憶の中の『みーくん』(菅原) を探してる → その『みーくん』(菅原) と目の前にいる『みーくん』(××) の差異を探してる” という考えに自然に至らせるため、かもしれません。
以下コメント。34頁「安藤と犬飼ぐらいの宿縁ジョジョネタを差し置いて伊坂幸太郎「魔王」*1とは、なんと珍しい……と思っていました。97頁「願わくば、僕の方が狂っていますように」 切ない視点だなあ……と思ったのに、蓋を開けてみると字義のままだという! なんてこったい。169頁「え、結婚するんでしょ?」 そういえば9巻のことをすっかり忘れていたけど、こんなことも言ってた! いやあ、やっぱりみーまーはこれがないと。殺伐としてるだけではいけませんね。


1巻が実写映画用のカバーになって重版されてたりしますが……みーくんの顔、どうすんの? というくらいには気になっています。なにはともあれ完結。後日談的なものは、おそらく別シリーズでひょっこり顔を出したりするでしょう。

*1:ちなみに漫画版もお勧めです。「魔王」 の脇役が人気出たのか、同作者の「Waltz」 で主役を張るほど。