ヴォイド・シェイパ The Void Shaper

ヴォイド・シェイパ

ヴォイド・シェイパ

読了。

凄いものを見た。
自分は幸運だった。
あれを見られたことは。
ああいったものが存在するということを知るだけで、これまでの自分とは既にまったく違う。別の者になれただろう。そんな手応えがある。
人間は生きている限り、別人になれる。
生きている人間に価値があるのではない。その変化にこそ、価値があるのだ。


面白かったです。
最初こそ、『山篭りしている剣の達人に育てられた子供が、大人になり旅に出て、市井の侍とぶつかってクールに決める』 なんてエンタテインメントなスタートを切るわけですが、徐々にそうではなくなってきます。世間を知らぬ主人公が、色々な人に出会い、教えを授かります。強いとは何か。人の価値とは何か。情と無情とは……。そういったものに触れ、想いを馳せながら、完全に理解はできないものの、ひとまず旅を続ける……。とまあ、そんな感じです。これも一種の成長小説と言えるのでしょうか。ただ、他者(イベント) によって閃きのごとく成長する、ということではなく、自己の中で考えに考えて、思索を繰り返してようやく端っこを掴む、といったようなものですが。


スカイ・クロラ中央公論新社が出す新シリーズ、ヴォイド・シェイパ。装丁も透明カバーを引き継いでます。シリーズものらしいので、続きも期待して待ってます。