夢の上 3 光輝晶・闇輝晶
夢の上3 - 光輝晶・闇輝晶 (C・NOVELSファンタジア)
- 作者: 多崎礼,天野英
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2011/05/25
- メディア: 新書
- 購入: 1人 クリック: 20回
- この商品を含むブログ (21件) を見る
それでも胸の小鳥は謳う。
言って、もう一度。僕と逃げようと。この国を出て、誰も知らない土地に行って、僕と一緒に暮らそうと。言って。お願い。もう一度――
いやあ、面白かったです。
結局、ある一本の事件を複数の視点で描いたって形になるんですね。もっとも、終結した事件のB面を再生するような形式ではなく、リレーでバトンを渡すように語られる形式なので、ストーリーの続きが知りたい! って気持ちも持てて面白かったです。まあ、”夜の王がアライス” ってことは予想がついていたので、2巻のラストも「あーハイハイ生きてるんでしょ」 みたいな感じだったんですが。
2巻までの話では、全てがアライスを軸として話が展開し、3巻の光輝晶で満を持してアライスのことが語られます。つまり光輝晶まではアライスのための物語といっても過言ではないわけですが……しかしそれだけではありませんでした。闇輝晶で語られる、もう一人の王の物語。皆に支えられて王になったアライスを光側とすれば、たった一人で孤独に王を目指し続けたツェドカこそ闇側。誰にも知られず世界のために戦ったツェドカこそ、まさに隠れた英雄と呼ぶに相応しい。上で言ったばかりで何ですが、光輝晶までの5篇をまとめてA面とするなら、闇輝晶はまさにB面。光と闇、どちらが欠けても成し得なかったことでしょう。
そして幕間の話はどうなったんだと思えば、”単に夢オチ” という。おおい、「夜明け」 ってそういう意味かよ! ……とまあ、その点はちょっとガッカリ*1なわけですが、本文は素晴らしかったです。次は東洋ファンタジーとのこと。そちらも期待ですね。
*1:私が勝手にガッカリしてるだけですが。