僕の小規模な奇跡

僕の小規模な奇跡 (メディアワークス文庫)

僕の小規模な奇跡 (メディアワークス文庫)

読了。

涙はぽろぽろこぼれている。その様子に、私より彼が慌てる。
「ど、どうしたのほんと」
「いえ、ごめんなさい。意外と自分の頭が働いていることに驚いて……」
言い訳しているのか何なのか、目的の掴めない言葉を発して目元を拭う。それから、
「息子と仲良くしてあげてくださいね。子供の幸せは、親の幸福ですから」


なかなか面白かったです。
というか文庫化すんのかよ! ということで、以前黒ひげが表紙になって単行本で出ていた本が文庫化。「バカが全裸で〜」 も同じ大学らしいですが、どこかでクロスオーバーしてたかな? 覚えてないや。「ぼっちーズ」 も同じらしいですが、それは文庫落ちした時にでも確認しましょう。
さて、本文。バカ正直な兄と元・引きこもり妹が、それぞれとある男女と出会う……ということで、兄と妹の視点で交互に語られながら進んでいきます。これに更に、20年前のとある事件が……云々。このあたり、ミスリードがいくつか盛り込まれていて見事に引っかかりました。まあそう大層なものでもないので、全然構える必要はないのですが。


バカな兄貴の羨ましいぐらいのストレートさと、鉄壁ハリネズミの美人さんが相性良すぎて面白かったです。書き下ろし短編もニヤニヤ。「バカが全裸で〜」 はそうでもなかったけど、こっちは続きが見たいかも。