されど罪人は竜と踊る Scarlet Tide

されど罪人は竜と踊る 10 (ガガガ文庫)

されど罪人は竜と踊る 10 (ガガガ文庫)

読了。

ベルドリトが兄の腰に縋りつく。目の端は哀しみに潤んでいる。イェスパーは優しい左目で弟を見下ろす。
猊下のために死ぬことが翼将の仕事だ」 覚悟を決めた戦士の眼差しだった。「おまえにもいつか分かるときが来る。本当の武人とは死に場所を見つけるのだ。主君のために戦場で討ち死にすることも、主君に代わって毒を呷ることも、素晴らしい死に様だ」
「兄貴……」


面白かった。今回も厚いけど。
9巻で「この厚さで前編かよ!」 なんて書きましたが、前後編なんてそんな甘いもんじゃなかった。10巻も600ページあるのに、全然終わってねえ……。まあ起承転結で言えば転の部分に入っている感じはするので、次で終わらないってことはないでしょう。きっと。
今回の見所は”アンヘリオの片腕の復讐” に、”超級の咒式士たちのバトルロワイヤル” に、”ハーライルへの最大の悪意” の三つでしょうか。一つ目は見事にミスリードに引っかかり(一箇所明確に答えが示されてたのにスルーしてしまった)、二つ目は逆転の連続の燃えるバトル、そして三つ目はやけに目立っていた瓶のシーンのフラグ回収。なんかあるんじゃね? とは思っていたんですが、まさかここまでの悪意の証左だったとは……。精神の拠り所がアレとかマジ崩壊するわ。番外で四つ目として、上記の引用の翼将たちが戯れるシーン。何これ、凄くほのぼのするんですけど……。


結局カラーページにあるノエス+ゴートレックって誰? と思いましたが、どうやら予備校の生徒と引きこもりのことらしいです。一番最後のシーンの少年のことでしょうかね。




余談。
有り得ない誤植とか、最終章でペトレリカが描写ゼロで急に出てきたりとか色々ありましたが、奇跡的なスケジュールで出版されたようで、そりゃこんな厚い本じゃ校正も行き渡らないよなあ……と思いました。