GOSICK VIII 下 神々の黄昏

読了。

「すこしは感謝ってものを……。あぁ、いや……」
さらさらと風になびく金色の髪を、自分の指先で玩んで、ゆっくりとうなずいた。
「感謝、してるんだろうな。あれでも。最大限に。きっと」


ついに完結。
ばらばらに引き裂かれた学園の人たち。それぞれが世界大戦に巻き込まれながら、それぞれの道を生きていく……といった感じで、安楽椅子探偵シリーズだったGOSICKは、なんと最後には旧世界と新世界の戦いになってしまいました。まあ”次の嵐” とは何度もささやかれていたので、その伏線が消化されてきちっと終わったことは素晴らしいと思います。
213頁「それでも我々は、日々、ちいさな神を見つけるだろう、とね。たとえば、大切な人の命に。限りあるうつくしいなにかの輝きに。誰かがふいに見せた、崇高なる勇気の中に」 ここ、ですよね。神々の黄昏で語りたかったクリティカルな部分。たぶん本当は、それを語るには戦争中の描写で充分なはずで、こうやって直接的に言うのは蛇足なんでしょう。ただ、そういうテーマ的なことを考えるのは不得意なんで、正直なところありがたい。きっと、それをキャラクタにそのまま言わせても不自然じゃないようにするのも一苦労なんでしょうねー。


何年も触れずにいてからようやく完結したシリーズ。もう彼らに会えないと思っていましたから、嬉しいですね。後は角川ビーンズ文庫の挿絵が気になるところですが……。さてさて、どうしたものか。




追記。
アニメも見ました。ところどころ設定を変えてるものの、大まかな流れは変わらず。やっぱ先に小説読んでおいて良かった。ただ、古き世界と神々たちの話を総スルーしてるため、ブライアンの片割れが船の中で×××××になっちゃう理由が説明できない。だから最終話の冒頭があんなことになっちゃったわけで、片割れは割を食ってしまった形に。可哀相な子……!