ギフテッド
- 作者: 二丸修一,りょう@涼
- 出版社/メーカー: アスキーメディアワークス
- 発売日: 2011/11/10
- メディア: 文庫
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「……お前、ロックだな」
「ロックはロックでも石のほうでしょうね。なんの面白みもない、道端に転がっているような」
これは面白かった!
ひさびさに新人開拓をしてみたのですが、噂に違わない出来。帯には「悲劇的な天才たちが命を賭けるゲーム」 とありますが、私がこの文句から想起したのは「クローズドサークルで行われる理不尽なゲーム」 でした。正直、そのタイプのは食傷気味なので、あんまり期待してなかったんですが……実際は「法律で圧倒的弱者となった天才たちのサバイバルゲーム」 って感じでした。これはなかなか良かったですね。クローズドではなく、実際的な目的も与えられてない。ただひとつ、”才能を示すこと” だけを求められます。
あとがきでは「明らかに長いページ数、大量に残された伏線、切り詰められた改行、ヒロインの設定、男率の高さ、登場人物の多さ、造語の少なさ、神話の引用でもない一つの英単語タイトル、超能力も魔法もなしの心理戦……などなど、賞も取っていない新人に現在のライトノベルの潮流から全力で逆走……」 とあります。いや、むしろそういうのを待っていた! と言いたくなります。文章系タイトルで「俺が」 「あの娘が」 「勇者が」 とか、タイトルに全く魅力がないのはもう勘弁してください……。
以下コメント。115頁「どうして『目的を見つける』 とかが課題なのかな?」 森博嗣が「問題が見つかれば、もうほとんど解決したようなものだ」 とか言ってたと思いますが、同じですよね。まあ一般的には課題発見力とか言われてますけど。247頁「ち、ちち違うわよ! 乳くり合ってるって何よ!」 基本的にだいたい納得のいく展開なんですが、綾芽が急に主人公を意識してるのだけが納得いかない。過剰反応しすぎだろと。せめてもうちょっと過程をだな……。318頁「変われるかもしれないと、最近気がついたんだ……」 これは熱い。主人公のドライさの理由がここで説明されるとは。こんなの卑怯だよね。あたためた一発ネタだよね。面白いに決まってるじゃないか。
完全に顔見せだけのキャラもいることだし、続きはあるんですよね? 期待です。