明日も彼女は恋をする

読了。

「行って帰ってきたばかりなのに、大げさなやつだよ」
まったくだね。
この世界へ戻って再び、僕は笑顔で応える。
祖母ちゃんが僕に一つの希望を教えてくれた。
この世の真実を一つ、僕に授けてくれた。
未来は、変えられる。


うおおい! なんてこったい……。
面白かったです。面白かったんですが……! 上巻を読んでから想像していた続きとは全く別の着地点に行っちゃいました。というのも、上巻を読んだ後で想像していたストーリーは(上巻の内容を一応伏せます)”ニア主人公で話が進み、昔(と今の) 二人の喧嘩の原因を解決して、ニアとマチが少し仲良くなった後でニア消失、主人公交代” ってな感じで、マチがどんどんストーリーを回していくかと思ってたんです。
ところが蓋を開けてみれば、”ニアが相変わらず主人公、マチはニート”という展開。うーん? どういうこと? ”二人がそれぞれ分岐した未来に行っちゃった”? なんて思ってたんですが……十章まで来て、ようやく判明。つまり、『”いつの間にかマチ視点が裏袋視点に入れ替わっていた……”! なるほどなるほど、それならニートなのも納得……』 と、すぐさま下巻を最初から読み返したんですが、『”ニアが死んだ云々” はずっと言ってるので途中で交代したわけでは……』 と、まだまだ誤解してます。全然頭回ってない!
最後まで読んでようやく分かりました。つまり、上巻は”マチ&綾乃、ニア&裏袋のツーペアで進んでいた” ということ……! なんてこったい。上巻を読み返したら、明らかに食い違っている描写がところどころに見受けられました。どうして気付かなかったのか、自分。一目瞭然といえるほどなのに、脳内で食い違っている部分を補正して繋げてました。これは……やられた……。
しかも、「それを言ったら”裏袋側は泣き寝入りじゃないの”」 って思っていた部分を、46頁「鯨の部分が豚や犬、人間に置き換わっても構わん」 やラストでしっかりフォローしてくれてたので、最後まで「してやられた」 という感じでしたね。



上巻を読んでから考えていた展開*1とは全く異なっていて、甘いデザートを期待していたのに醤油系の料理が出てきたような、『美味しいけどコレジャナイ感』 に面食らいましたが、まあこれはこれで面白い体験だったのではないでしょうか。




余談。
すっごいネタバレになるのでタイトルは伏せますが、森博嗣でも似たようなネタがありましたよね。”二人の主人公が同じ場所で事件に遭っているはずが、実は二人はそれぞれ橋の両岸にいて、それぞれ別の事件だった” って奴。”ひっくり返したのを更に最後でひっくり返したりしてごちゃごちゃにする” って部分も似てるかもしれません。

*1:マチがニアを取り戻すために色々と動いて、最終的に再会してツンデレ発揮、というベッタベタ予想