メグとセロンVII 婚約者は突然に

読了。

交差点の脇には公園があり、そこには、古い大砲が飾ってあった。
百年以上前の古い大砲へ、セロンは薄く残った雪を踏みしめながら近づいていく。
「どうした?」
不思議そうなラリーの目の前で、セロンは、大きな砲口に自分の頭を突っ込んだ。
「いいぞ、ラリー。撃ってくれ……」


完結。やはり面白かったです。
最後まで淡々とした語り口で登場人物たちの心情を(だいたい)公平に描きながら、セロンの謎解きを軸にしつつセロンの恋路を見守るという、内容としてはありふれているけど作者の唯一性が出ているシリーズでした。
326頁「ああ、例の千里眼か……」 は5巻でラリーが時計をもらった話だし、333頁「去年の夏に、美しい景色が広がるエアコ村の〜(中略)、自分が言ったことを、思い出した」 は4巻280ページで、今回はシリーズの伏線が明示されてたわけだけど、ついでに5巻を読んでたら229ページに今回の(”セロン入院の”) 顛末に関しての伏線が張ってあって、すごく驚いた。そういえばアリソンやリリトレは巻をまたいだ伏線が頻出するストーリーなんだった……。メグセロが平和すぎて忘れてましたよ。
総じて、軽い会話劇に読みやすい文体、少し重めのストーリーと、発展途上の中高生直撃のシリーズだったんではないでしょうか。アリソンとリリトレはちょっと戦争ネタが入るからアレですけど、メグセロは誰にでも勧められる仕上がりだったのでは。


最後の展開は既にわかっていたので、そこに到達するまでの過程を楽しむシリーズだったのですが、読者としてはそこで止まるのはやはり寂しいもの。それを分かってか、3シリーズオールスターで一冊出るそうです。これは楽しみですね! 次も期待です。